※この記事はトカプチ雄大空間の調査事業で制作されたものです。

 

こんにちは。帯広駅前でHOTEL NUPKA(ホテルヌプカ)というコミュニティホテルをしている坂口琴美です。

ヌプカという言葉はアイヌ語で「原野」を意味します。

高校卒業とともにこの土地から上京し、暮らしのなかで東京の歴史深さと情報量の多さ、洗練されたレベルの高いものと出逢える魅力を満喫。

一方で、雄大な十勝平野には土と水、日光をもとに、大地とともに生命の誕生と生きるチカラを感じられる対照的な魅力がある。北の大地の暮らし、原野(北海道のありのままの姿)がとても美しいと感じ、2014年から東京と十勝の二拠点居住をはじめました。

現在はほとんど帯広にいます(笑)のでぜひヌプカでお声かけください。

4月からは馬車の運行も開始予定です。
https://bashabar.com/

 

とかち帯広空港→帯広市街地へ 上空から旅のはじまり
日高山脈と畑の織りなすパッチワークに息を飲む

市街地まで行くまでの余談ですが、十勝には空港があり、実は羽田とのアクセスは結構便利。

都会からの週末旅行も朝のんびりしてお昼の便に乗ってきても丸一日まちなかとプチ郊外を楽しめます。

新千歳空港からのバスやJRでのアクセスもありますが、わたしのおすすめは上空からの十勝の景色。

天気がよい日中は絶景。ランディングが近づく頃、地図ではよく目にする北海道の形が見えてきます。

ランドマークになるのが襟裳岬と、その岬から南北に縦断する悠々たる日高山脈と、その麓に広がり、四季ごとにまったく違う色彩を織りなすパッチワークが十勝の風景の醍醐味その1。

北海道には都会ほど公共交通機関の便利さはないけれど、車がなくてもバスやJR、レンタサイクル、タクシーを組み合わせると旅の楽しみが広がります。

空港から便利な街なかへの公共交通機関はバス。

空港ターミナルの到着出口からすぐにバスカウンターと券売機があります。「駅前行」と「市内ホテル行」とありますが、どちらも飛行機の手荷物を待ってからの発車で、便ごとに合わせて時刻表が組まれているため、乗り遅れる心配がありません。

所要時間は約35-40分。バスからの風景も◯

 

まちなか到着  荷物はホテルに預けてお散歩に
南北150kmの日高山脈のある風景は十勝のアイデンティティ

まちなかに到着したらホテルに荷物を預けてお散歩にでかけよう。

ヌプカに宿泊ならチェックイン前から別館のラウンジ(ヌプカ オンナイ)もご利用でき、高速インターネットや旅の計画を立てるのに最適です。

地元の人や宿泊者も利用している場合があるので、その場合にも、気軽に話しかけてみることもできる場所です。ここはヌプカの一階でアートを展示している冨山太一くんが作ってくれた場所。

上空やバスからの眺めが良かった日には、帯広市役所11階展望階へ。

帯広市街地から市役所までは徒歩10分程度。

11階の展望階西面のガラスいっぱいを埋め尽くすほど日高山脈から大雪山系を見渡すことができ、ガラス越しのパネルと照らし合わせて山々を眺めてみてください。乾燥している冬季には、その空気の綺麗さから山々を一望できる可能性が高。

偉大なるこの日高山脈は、美しい水流をもたらし、綺麗な土をつくり、雲をせき止め、畑に光をあててくれます。

美味しい食べ物と笑顔のある生活の生みの親であるこの日高山脈には日々感謝が止まない。

小腹を満たしに六花亭本店へ。

まちなかには、北海道の銘菓の一つであり、マルセイバターサンドで有名な六花亭があります。六花亭本店は一階が売店、二階が喫茶室、3階は額装・額縁・ギャラリーをされている弘文堂さんが企画展をされていることもあります。

最近の弘文堂さんの企画展では、写真家の浦島久さんのジュエリーアイス展や、冨山太一さんの写真とコラージュ、絵画作品の展示がありました。

食育や感性を育てる六花亭の活動はそのお菓子の名前や文化活動からも感銘を受ける。郊外に出るタイミングにはぜひ中札内村にある中札内美術村や六花の森も訪れてほしい。

 

公衆浴場でモール温泉が味わえるまち!温泉のあとはヌプカで旅のはじまりのビールを片手に、これからはじまる旅の話をしよう

帯広周辺にはたくさんの温泉が湧いていて、ホテルや温泉宿などに宿泊せずとも気軽に日帰り温泉(銭湯)を利用できます。公衆浴場でも温泉の場合が多く、銭湯価格(440円)でお肌ツルツルのモール温泉が味わえてしまうんです。

わたしのおすすめは、泉質でいくと駅からもほど近いアサヒ湯といいたいのですが、日曜以外は13時オープン(日曜は朝6時から営業しています)なので、羽田から一便で来て、気軽に温泉に浸かりたいときはレトロなローマの泉 福の湯もオススメ。

ローマの福の湯
http://ro-ma.jp/

日帰り温泉情報はとってもかわいいマップを作りましたので、ヌプカのカフェ利用または宿泊のお客様には無料でプレゼントしています。

気軽に銭湯めぐりにでかけよう。

十勝は食の宝庫。2016年、士幌町地ビール研究会とヌプカの共同制作で十勝産大麦麦芽100%のクラフトビール「旅のはじまりのビール」が完成しました。

それ以来、ヌプカのカフェバーでは「旅のはじまりのビール」以外にも「帯広ビール」各種、ゲストビールも入れて12種類の樽生のクラフトビールを楽しめます。

朝7時からオープンしているので、早朝便で到着して朝から立ち寄ることが可能。

 

帯広名物な訳じゃないけど

お昼ご飯はELEPHANT IN THE ROOMで店主コータくんのカレーを。

帯広といえば、誰もが豚丼!というのですが、確かに豚丼も美味しいですが、私はローカルの人と知り合うことが、自分の旅を有意義に仕立ててくれるように思っています。

ELEPHANT IN THE ROOMはコータくんが旅先で見つけた民芸品から我楽多までをセレクトした雑貨とカレーのお店。

カレーはチキン、スパイス、ナッツとお塩とシンプルなものに辛さの調節ができる。

トッピングにエッグフォレストさんのネラのたまごはオススメ。原種に近いネラという品種の鶏に手間暇かけて作る発酵飼料を与え愛情込めて育てられたネラたちの優しい味わいは帯広でも数カ所でしか味わえません。

カレーはもちろん美味しいのですが、何よりコータくんの世界観をのぞくのも○。

 

馬とふれあおう 世界で唯一のばんえい競馬場
ふれあい動物園にはポニーやクォーターホース、ヤギ、ウサギも

街中からほど近いばんえい競馬場へ。輓(ばん)馬の迫力を感じてください。

北海道の開拓は輓馬とともにありました。輓馬とはソリや車を引く馬のこと。ばんえいのレースでは重賞と呼ばれる大きなレースではおおよそ1トンものソリを引いて早さを競います。

かつて北海道には4箇所のばんえい競馬場がありましたが、現在残っているのは帯広競馬場のみ。

実は競馬場には500頭以上の輓馬が、調教師や厩務員とともに暮らしています。

競馬場の開催日は基本は土、日、月の午後から夜にかけて。でもそれ以外の日程でも、ふれあい動物園やとかち村の物産展を楽しめます。

レース開催日に訪れたら、試しに賭けてみるのもワクワク感が広がります。初心者でも案内所の優しいスタッフさんが馬券の買い方をわかりやすく説明してくれるんです。

次のレースに出走する馬たちの状態をパドックでみて、予想をして、出走前の音楽が鳴ったらいざコースへ。レースは通常の競馬とは違って、並走できるのも醍醐味の一つ。応援する馬たちの横で一緒にゴールまで走ることができるんです。

ばんえいの楽しみ方はこちらを参照。

ばんえい調教師たちのボランティアにより出来上がったふれあい動物園は、子供たちのみならず、馬たちの優しい瞳に癒されてほしい。

ばんえい競馬場では早朝の朝調教バックヤードツアーの見学コースもあり、特に極寒の真冬の朝調教は馬たちから蒸気が上がり、迫力満点。

ばんえいの歴史と十勝の馬文化を継承したく、私たちは今年4月より、帯広市街地で馬車BARというプロジェクトを開始することにしました。

馬車を引く輓馬は去年10月までレースに出ていたムサシコマ(通称: コマちゃん)。彼と一緒に帯広のまちなかの風景をつくります。

 

ローカルと出会う北の屋台

帯広の夜は都市の規模にしては賑やかに感じるのは、食べ物が豊富だからだろうか。

コンパクトにまとまった市街地には地元の人と出張族、観光客が食べ物を囲んで、お酒を片手にローカルトークがはじまる。その典型になっているのが20件の個人店からなる北の屋台

十勝に来たら、まずは北の屋台のはしごをおすすめする。

生産者さん、近所の飲食店さん、またイベントなどをしている人だったりがよく飲みに来ていたり、地元の人たちと会話が生まれるお店がたくさんあります。

私がよく行くお店は、ポンチセ、プチプレジール、マリヨンヌ、煙陣(えんじん)、創家(つくりや)、琥羊(こひつじ)、天(そら)。

ポンチセは店主のじゅんこちゃんがアイヌの血を引いているためアイヌ料理も食べられる。

他にもエスニックな感じのものが多かったりもするんだけれど、民族系のイベントや映画のサポートなどをするじゅんこさんの周りにはサブカル的な匂いがする人たちが集まっているように感じる。ポンチセは面白いので2軒目、3軒目だとしても最後には寄ってほしい一軒。

地元素材を素朴に美味しく楽しい発想で食べさせてくれるのがプチプレジールさん。ここでは共働学舎のラクレットチーズも食べれる。ソムリエを持つ店長が気軽にワインとマリアージュしてくれる。

ちょっと手の込んだ美味しいものをいただきたいときはマリヨンヌ。屋台なのに高級フレンチのような美味しい料理が味わえる。「屋台」vs「フレンチ」というギャップが気取らず美味しいものを食べれて笑顔になれる秘訣だと思う。

そんな、美味しく楽しい屋台。そこで出会う人たちに、明日の予定を先導してもらうのもいいのではないかと思う。

 

先日屋台で出会った人と、ヌプカのお客様を友人のチーズ工房へと案内した。

朝のヌプカには宿泊していない人や、地元の人たちも朝食を食べに来たり、コーヒーをテイクアウトしに来たりする。そんな時に、宿泊していた農家さんやチーズ職人が朝食を取りに1Fに降りてきたり、そのタイミングでまた会話が生まれたり。

そんな風に人との出会いから自然に生まれる旅を楽しんでもらいたい。

 

あとがき

高校の時、海外留学出発の日、親元や友人の元を初めて離れる不安で、帯広空港から離陸した機内の窓越しで溢れてくる涙を我慢できず、堪えようと窓の外を見たら、そこには壮大な景色が広がっていて。

長く連なる日高山脈とその麓に広がる畑の雄大さが、「大丈夫。いつもみんな心の中で繋がってて、この大地からしっかりみてるから。がんばっておいで。ここで待ってるから。」とやさしく肩を包んでくれたようだった。

その風景が涙で乱反射して、じゃがいもやビート、大豆畑と黄金色を迎える小麦畑のコントラストが万華鏡みたいにキラキラしてて。瞬きしたら大粒の涙がポロポロと零れてるのに、山々から流れてくる水が海に繋がっていく姿をみていたら、自分の小ささとちっぽけなことにメソメソしてることに気づいて、今思えば、自立のきっかけをくれたのが日高山脈の風景だった。

今でも日高山脈を見ると底知れない感謝の気持ちが湧き上がる。

十勝の人たちの温かさや強さを育んでいる偉大なる存在の山々は、私たちの永遠のアイデンティティ。

いつでもここで待っています。

HOTEL NUPKA 坂口琴美

 

今回訪れたスポット

  • HOTEL NUPKA
  • NUPKA ONNAY
  • 帯広市役所11階
  • 六花亭 帯広本店
  • アサヒ湯
  • ローマの福の湯
  • ELEPHANT IN THE ROOM
  • ばんえい十勝
  • 北の屋台
  • ポンチセ