若い頃の私はこういう時、自信を持ってオススメできる、勝手がわかるスポットだけを巡ったものだ。
40歳になった今、友達と一緒に新たな発見をしてみたくなって、「気になっていたけどまだ行ったことがない場所」を盛り込んでみた。
「旅の醍醐味はお酒」という普遍と共に。
*
まず最初に向かったのは・・・
はるにれの木
日立の初代CM「♪この木なんの木気になる木♪」の歌で有名になったこの木を、一度近くで眺めてみたいと思っていた。
この旅に参加してくれたメンバーたちも興味しんしんの様子。
到着。
「何もない開けた場所だね」
「誰もいない」
「静か」
「それで、木はどこ?」
「あれかな?あれだよね?」
「え!」
「・・・」
「ええええええ!?」
「葉っぱがない?!」
秋だからかすでに落葉が進んでしまったようだ。
初っ端から乾いた笑いが漏れる。
この展開は予想していなかったのでヒヤヒヤするも、「ハプニングがあるからこそ旅は楽しいですよね」というメンバーの一言に和む場。
「さ、次行こ、次!」
お酒好き女子たち、片鱗を見せる。
道中寄ったのは、北海道に大展開するコンビニチェーン
セイコーマート
午前中からお酒を買い込み、各自ヘパリーゼを飲み準備万端。
そしてこの旅のメイン目的地へ。
厚内漁港 魚介類販売店
浦幌町厚内のこのお店で売っている魚介類をその場でBBQで楽しめる、十勝人にもあまり知られていないスポットだ。
外観はいかにもディープ。
辺りを見渡してもお店はここ一軒しかなく、ポツンを佇む様子と陽気な海の家風の設えに期待が高まる。
店内に入るといきなり目に飛び込む船。
店内奥はカオス。
船の中にはカニ、牡蠣、ホタテ、カレイなど生きた魚介類が!
「美味しそう」「楽しい」とはしゃぐメンバーたちと更に奥のBBQエリアへ。
ここを切り盛りするご夫婦の手作りインテリアの数々。
可愛らしさと可笑しさとカオスの共演に、しばし見惚れてしまった。
ここから先はお父さんとお母さんの独壇場。
お父さん「いいか、良いホタテってのはな、○☓▼?□」
お母さん「余計なこと喋ってないで早く焼きなさいよ!」
お父さん「・・・はい」
お父さんへの口調は厳しいものの、私たちには焼き方、食べ方、味付けなど丁寧に教えてくれるお母さん。
お母さんに怒られても全くへこたれず、「いっぱい食べれ」とニコニコ話しかけ続けるお父さん。
ホタテ、牡蠣、ホッキ、まつかわガレイの刺し身、たこ、ししゃも、鮭のちゃんちゃん鍋など、「本来はお客さんが自分で勝手に焼くスタイル」とのことだったが、私たちが焼く作業を行うことはほぼなく、すべてお母さんの絶妙な焼き加減で出してくれた。
美味しさはメンバーのこの表情を見ていただければ伝わると思うが、「自分たちだけで楽しんでいたBBQが他の漁師に見つかり開店するに至った」というご夫婦の温かいおもてなしに、持ち込んだお酒はものすごいスピードでなくなっていった。
ちなみにこの日の料金は一人2,000円程度だった。
この“魚介販売店”では予約時「お酒や飲み物、おにぎりなど魚介以外に必要なモノがあれば持参してくるように」と通達される。
私たちも持ち込むためのお酒を、近くのスーパーで買っていた。
漁港から徒歩5分ほどの厚内駅。
そこに隣接するスーパー山本。
手作りの珍味が並ぶ店内ではほっけが干されており、お母さんが「味見しなさい」と渡してくれた。
美味しい。
厚内はお酒好き女子のパラダイスだ。
昆布刈石展望台
新鮮な魚介を死ぬ程食べた後は、絶景ポイントである昆布刈石展望台へ移動。
地球ではないどこか別の星に来てしまったような気になる場所だ。
メンバーの一人は過去ここで、“火曜サスペンス劇場”のようなホラー体験をしたことがあるそう。
詳しくは書けないが、再現写真を残しておく。
パタグライダーの聖地でもあり、この日も数組のパラグライダーが飛んでいた。
雄大な空間の中でとても気持ち良さそう。
「私も飛んでいきたい」というメンバーの声が、なぜか胸に刺さる。
池田ワイン城
その後訪れたのは、観光名所でもある池田町の“ワイン城”
ワインの製造過程をじっくり説明し見せてくれるガイドツアーに参加した。
庭に広がる観賞用のぶどうを味見させてもらったが、「ワイン用のぶどうだから美味しくなさそう」というメンバーの予想に反して、びっくりする程の美味しさ。
タネが多く粒が小さい為食べづらさはあるが、果物として食べるぶどうの甘さ、酸味。完璧だった。
有料試飲コーナーでは、8種程度のワインの中から好きなワインを3種選べ、おつまみには地元産の生ベーコンやモッツアレラチーズも。
ソムリエ風の職員のおじさまの説明を聞きながら、立ち飲みではあるものの心地良い空間だった。
フレンチ惣菜 シェ ロッスリー
その後帯広に戻ってきた私たちは、街なかのフレンチ惣菜のお店『シェ・ロッスリー』でおつまみセットを買い込み、緑ヶ丘公園へ。
ピクニック宴会をする予定であったが、紅葉の始まった十勝の初秋は寒く、外飲みは断念。
寒くてはどうにもならない。
そこで移動してきたのが・・・
シェアアパートメント&オフィス TORINOS
宿泊も提供しているシェアアパートメントのリビングで、お酒とおつまみを広げた。
シェアハウスの入居者や他の旅行客との交流が期待できるリビングは、座敷でくつろげ、朝からお酒ばかり飲んできたメンバーたちはだんだん仏モードに。
リビングで寛いで飲んだ後、そのまま部屋に移動して眠ることができる環境は、これまた酒飲みに嬉しい。
そんな流れを想定して作られたわけではないと思うが、ここも“お酒好き女子のパラダイス”に認定させてもらおうと思う。
全体を通してお酒が中心の旅。
「お酒好きが集まっている」いう精神的安全性のおかげか、朝、お酒を飲む前から会話は必要以上にディープになっていった。
久々に会う友達と、近況報告なんてすっ飛ばして本音で語り合い、共に旅を楽しむコースとして、改めて自信を持ってオススメしたい。